目標管理とは?
目標管理とは、「成果責任(役割別貢献ミッション)を基に目標を設定し、目標に基づいて効果的にマネジメントを行うこと」です。
目標管理は、ただ期首に目標を設定し、期末に評価を実施するというものだけではありません。
目標の変化には年間を通して臨機応変に対応して、管理+重み付けの修正を行う必要があります。(生きた文章)
成果責任が何であるあを各自が理解し、それに沿った目標を設定することにより、効果的、かつ効率的に仕事を進め、会社の戦略を業績に結び付けることができるようになります。
成果責任
毎年の経営計画や目指すべき業績、戦略に基づいて組織(構造)は見直されますが、その際合わせて成果責任を再確認し今年度の業務遂行を通して、自分がどのような成果が求められているのか、すなわち、会社として、その職務に対するそれぞれの立場・役割で、求められる成果に対する責任を見直すことが大事です。
主に5つの問いかけから再確認と見直しを行ってください。
1. 領域、項目に漏れがないか。領域、項目の選択が適切か
2. 中長期的に妥当なものか
3. 上下関係は適切か
4. 横(同レベルの関連職位)の関係は適切か
5. 表現は明確か
成果責任の概念
成果責任の定義=仕事上、期待される成果を生み出す責任
成果貢献領域とは、仕事全体を5~9の大きな分野として捉えたもの
成果責任を作成することのメリット
●漠然としていた職務の全体像が鮮明になる
・組織におけるその仕事の位置づけが理解できるようになる
・仕事の重要度の順位が明らかになる
・仕事の仕方の自由度が高まる
●職務の関連性が明確になる
・タテ(上下)、ヨコの相互の役割や貢献領域の範囲が明らかになる
●職務評価のペースになる
・職務の難易度や大きさを測定できる
自職務の成果責任を分析していくことは業務活動を推進していくうえで非常に重要です。成果責任は7±2(5~9)個で捉えておくと、使いやすく仕事を整理し重点化していくうえでも便利であり実用的です。
成果責任を作成する目的は、組織がその組織目的や戦略を遂行していくうえで、各職務担当者の役割を成果の形で明確にすることです。また人事評価の基準として職務内容を明確にしていく必要があります。今後、人事評価は「成果主義」が一層とられていきますが、より一層の公正で適正な評価を推進していくことがお題目にならないため、個々の職務レベルで何を基準にしその仕事ぶりを評価するのかを明確にしておくことが非常に大事になっています。
成果責任の明確化は、「職務設計」「雇用と選抜」「人材開発」「業績評価」「給与管理」「法律遵守」といった人事や組織の諸制度の基礎的なデータとなり重要なものです。
■成果責任の分析していく上での一つの抽出方法
これはボトムアップ的、帰納法的な方法ですが、逆に目的から演繹的に考えていく方法やある小域から考えていく方法もある。
すべての業務活動→主たる業務活動→成果責任
すべての業務活動を箇条書き
→何をどのようになにをどのようにと整理していく
成果責任の体系化ー上下の関係
ある職位の成果を生み出すための個々のプロセスは、部下の役割となっている。
ある職位の役割の内容は、部下のプロセスの単なる総和ではなく、固有の付加価値(組織への貢献)がある。
上司と現職者の上限関係を見ると、一般に上図のような関係になります。
ポイントは、上の職位ほど、
1.成果の領域がより包括的になる あるいは
2.手段・目的の連鎖でみるとより最終的になる あるいは
3.成果の領域は同じだがレベルが上になる
成果責任のカスケードダウンの具体事例
経営的な最終成果獲得に向けて、上位者と会社の成果責任は異なる
部長:競争力のある新サービスを開発する
課長:ZZ分野において自社のサービスの改善策を提案する
一般社員:ZZ分野において、自社及び競合サービスの分析を行い、報告する
成果責任設定に活用できる表現
・各職務の成果責任を設定する際、職務の目的を示しやすい表現を例示
~を作成する
~を立案する
~を計画する
~を完遂する
~を策定する
~を起業する
~を達成する
~を確定する
~を承認する
~を構築する
~を提供する
~を提案する
~を分析する
~を調査する
~
一般的には以下の表現は、職務の目的を示すことが難しく、役割(テーマ)設定には適切ではないとされています。
~を調整する
~を担当する
~を考慮する
~を管理する
~を検討する
~を考察する
~に対処する
「成果責任」記述上の動詞は方向性が明確であり、その職務の目的が明確にあらわされるものを設定してください。
目的から演繹的に考えていく方法やある領域から考えていく方法の一例としてBSCの視点があります。
これは欧米の業績管理において、短期的な業績指向に走りすぎたため、組織が中長期的に存続するための重要な成果責任をなざりにしていた傾向があった反省から生まれた考え方。
上記の図にあるように、全社的にみると、直接的成果責任とは、会社として最終的に達成しなければならないものであり、履歴や売上の拡大が該当します。これを支えていき、、会社が安定して中長期的に発展してゆくためには間接的成果責任が重要になります。
つまり、今日の利益(飯の種)が直接的成果責任で、明日の利益(飯の種)のために間接的成果責任があるわけです。中長期的に売上や利益を拡大していくためには、宣伝広告や商品改善等の他の成果責任が重要になり、十分評価に値する成果責任ということができます。
成果責任と目標の違い
成果責任
時間軸:中長期的
表している内容:成果の領域と方向性
目標
時間軸:今期
表している内容:領域の中の「何」を、「どこまで」やることで、「どのような状態」にするか
目標とは、「今期、何を達成すれば、役割・責任(成果責任)を全うしたと言えるか」を明確に規定したものということができます。
目標管理における目標は、「今期」に限定されているため、たとえば5年たたないと達成できないことは目標となりません。もしそのことを目標にしたい場合は、5年後の最終ゴールに至るために「今期はどこまで到達すればよいのか」を明確にしたものが、今期の目標となります。
また、目標は「何をしたら成果責任(役割貢献領域)を全うしたと言えるか」を規定したものですから、各人の組織内の役割に応じて異なります。
成果責任は領域+方向性という表現であり、やや抽象性がありますが、目標では何を(指標)、どのレベルまで(水準)を明確にし具体化していく必要があります。
ただし、職種によって期初にすべてを具体化できないものがありますが、その場合可能な限り項目を具体化しておき、期中で明確になった時点で、具体化するという中期を目標設定欄に記載し、上司と合意形成しておくことで運用していきます。
例として、
合法的且つ当社有利の契約締結する。(法務部門)
ABC領域の新規化合物をステージアップさせる。(TR部門)
といったアクションリサーチ型の課題は、期中のある時点で具体化させていくという柔軟な運用が求められる。